海鳴りがきこえる

TRAILER

INTRODUCTION

震災ですべてを失った女性は、母になり家族をもった
幸せを求めた彼女は、何故また被災地に戻ったのか―
震災ですべてを失った女性は、
母になり家族をもった
幸せを求めた彼女は、
何故また被災地に戻ったのか―

元写真家の理子奈は、愛息、大地の子育てに追われる毎日を過ごしている。東北の被災地出身の彼女は、震災で家族が離散した過去があった。だからこそか、自分の理想的な家族を作ることに執着しているが、夫の知久とぶつかり、噛み合わない日々が続いていた。そんな折、父親のように慕って師事していた写真家の浩志が、緊迫した情勢のベラルーシに難民取材に行くと連絡が入る。父親を失うような気持ちでいる最中、知久が浮気をしていることを知る理子奈。苦悩のなかで、本当に自分がすべきことは何かと自問しながら、やがて、彼女は東北の被災地へ車を走らせていく―。

3.11を記録すること、その以後の物語を描くこと
被災地となった故郷を、映像で紡ぐ岩崎孝正の初長編劇映画
3.11を記録すること、
その以後の物語を描くこと
被災地となった故郷を、
映像で紡ぐ岩崎孝正の初長編劇映画

監督は、長編劇映画が初となる岩崎孝正。福島県相馬市出身の岩崎は、3.11 の震災以降、故郷の映像を撮り始め、2015 年にドキュメンタリー『自然と兆候/4つの詩から』を完成させる。以降も災害や公害についての短編作品を送り出してきた。主演、理子奈役を演じたのは、『アルプススタンドのはしの方』(20)をはじめ、数々の映画に出演、『まなみ100%』(23)も控える注目の若手俳優、中村守里。夫・知久役は、近年、映画の出演に加えてドラマにも幅広く出演する内村遥が演じている。3.11 の震災から12 年―その以後の人生を描くヒューマンドラマがここに完成した。

STORY

かつて写真家であった理子奈は、広告代理店に勤める夫の知久、息子の大地と、東京近郊のマンション暮らしを始め、数年が経とうとしていた。育児をしながら、空いた時間に夫の会社から広告写真の仕事をもらい、生活に追われている。

彼女は東北の被災地出身で、震災で父親を失い、中学生の時に親戚に預けられ、母親とも疎遠な関係になっていた。だからこそか、夢想的に幸せな家庭をつくることに執着してしまい、現実的な夫の知久とぶつかり、噛み合わない日々が続いていた。

そんな折、かつて理子奈に写真を教えた、父親代わりでもあったベテラン写真家の浩志から、戦場に接するベラルーシに難民取材に行くという連絡を受ける。浩志は戦場カメラマンとして経験豊富とはいえ、突然の連絡に驚きと不安を隠せない。

「最近、知久の帰りが遅い…」。理子奈は夫への疑いと不安を強めていた。親友である栄子に相談したが「あんな真面目な人いないよ。心配ないよ」と言われるが、知久への疑いは日に日に募り、うなされたり不安に苛まれることが多くなる。

「幸せな家庭をつくろうとしている私は間違っていないはずだ。なのになぜ? でも…」。 不安を払拭するために、母親の奈津美に数年ぶりに会おうとする理子奈。 やがて彼女は、東北の被災地へ車を走らせていく。しかし日常という歯車はすでに狂い始めていた-。

PROFILE

監督|岩崎孝正〈いわさき・たかまさ〉

1985年生まれ、福島県出身。
東日本大震災をきっかけに本格的に映像制作を始める。東北芸術工科大学大学院デザイン工学専攻映像領域卒業後、映画・映像制作や「New World」(22)を企画上映するなどの活動を行なっている。『自然と兆候/4つの詩から』(15)が、山形国際ドキュメンタリー映画祭「ともにある」部門、ドイツニッポンコネクション、モナコ国際映画祭で上映。『カツテノミライ』(19)が大阪アジアン映画祭で上映。
震災三部作としてまとめた『ふるさとに旅する』(19)が、山形国際ドキュメンタリー映画祭「ともにある」部門で上映。受賞多数。

理子奈|中村守里〈なかむら・しゅり〉

2003年生まれ、東京都出身。
舞台「清らかな水のように~私たちの1945~」にて14才で女優デビュー。主演映画『書くが、まま』(18)の演技でMOOSIC LAB2018にて最優秀女優賞を受賞。その他の映画出演作に『アルプススタンドのはしの方』(20)、「DIVOC-12 『YEN』」(21)、『世界の終わりから』(23)、『ヒッチハイク』(23)、『まなみ100%』(23)、ドラマでは「美しい彼 シーズン2」(23)、「どうする家康」(23)などがあり注目の若手俳優である。

知久|内村遥〈うちむら・はるか〉

1985年生まれ、神奈川県出身。
2012年に主演を務めた映画『適切な距離』(大江崇允監督)で第7回フィルム・エキシビジョンinOSAKAシネアスト大阪市長賞(グランプリ)主演男優賞を受賞。その後、ドラマ「陸王」(17/TBS)、「コンフィデンスマンJP」(18/フジテレビ)、「ドラゴン桜」(21/TBS)、映画『ファーストラヴ』(21)、映画『七人の秘書THE MOVIE』(22)、ドラマ「大病院占拠」(23/日本テレビ)、「VIVANT」(23/TBS)等、数々の話題作に出演。2023年には映画『鯨の骨』の公開が控えている。

愛|指出瑞貴〈さしで・みずき〉

1994年7月8日生まれ。東京都出身。
11歳からキッズモデルとして活動し、14歳でドラマ「スクラップ・ティーチャー〜教師再生〜」にて女優デビュー。近年の主な出演作は映画『ネメシス 黄金螺旋の謎』(23)、ドラマ「今際の国のアリス」シーズン1.2(Netflix)、「あいつが上手で下手が僕で」シーズン1.2(日本テレビ)等。大型二輪免許を取得し、バイク女子としても活動中。

浩志|川瀬陽太〈かわせ・ようた〉

1969年生まれ、神奈川県出身。
1995年、映画『RUBBER‘S LOVER』で主演デビュー。瀬々敬久監督をはじめピンク映画で活躍し、近年は自主映画から大作までオファーが絶えない俳優。映画主演作も複数あり、TVドラマにも出演。近年作に「レッドアイズ監視捜査班」(21)、『遠くへ,もっと遠くへ』(22)、『ミューズは溺れない』(22)、「ヒヤマケンタロウの妊娠」(22)、『激怒』(22)、『やまぶき』(22)などがある。

木村知貴〈きむら・ともき〉

自主・商業の枠に捉われず、映画を中心に活動。 近年の主な出演作品に、主演映画『マニアック・ドライバー』(21/光武蔵人)、『ラーゲリより愛を込めて』(22/瀬々敬久)、『ちひろさん』(23/今泉力哉)、『SEE HEAR LOVE』(23/イ・ジェハン)、主演映画『はこぶね』(23/大西諒)などがある。

奈津美|小林なるみ〈こばやし・なるみ〉

株式会社タイムフライズ所属。舞台では青年座の宮田慶子氏など北海道内外問わず様々な演出家の作品に出演。企画CD「雁月泡雪」ではラジオDJと歌を担当。ギターと朗読のコラボユニット”あわい”結成。 映像出演作品『TOCKA タスカー』(22)、「モルエラニの霧の中」(21)、ドラマ「そらぞら」、『そこのみにて光輝く』(14)、『きみはいい子』(15)、『過去負う者』(23)他

満園雄太〈みつぞの・ゆうた〉

株式会社タイムフライズ所属。東京都出身。主に時代劇の商業舞台に出演。 近年は映画・ドラマにフィールドを移す。出演作は『東京の日』(15)、『ごっこ』(18)、『ある職場』(22)など。

栄子|tamico.〈たみこ〉

東京都出身。株式会社タイムフライズ所属。桐朋大学芸術短期大学演劇専攻科を卒業後、舞台中心に活動を始める。2011年、東日本大震災からの復興支援公演を目的とし、2013年まで宮城、福島をまわった。 最近の出演作品は、KⅢ「縁月」、ミュージカル座「スター誕生2」など。最近はライブなど、歌でも活動。

大地|橋口湊〈はしぐち・みなと〉

2019年生まれ福岡県出身、4歳。芸能事務所PASOC所属。子役をしていた8歳年上の姉の影響を受け参加。本作品が映画デビュー作。

CREDIT

海鳴りがきこえる

2023年|71分|1:1.85|5.1ch|DCP

出演:
中村守里 内村遥 指出瑞貴
川瀬陽太 木村知貴 小林なるみ
満園雄太 tamico. 橋口湊

監督:岩崎孝正
プロデューサー:伊達浩太朗|脚本:岩崎孝正
撮影:宇野寛之|録音:野呂博
メイク・衣装:田村朱貴子
助監督:中谷吉晶 一之瀬廉 中村大輔
制作:伊藤沙緒|編集:竹中優太郎
整音:北摂サウンドプロダクション
音楽:原夕輝|宣伝デザイン:鈴木規子

製作:株式会社タイムフライズ
配給:ブライトホース・フィルム株式会社

文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業
旧題「MOTHER」

【クラウドファンディング支援者】

鶴岡由貴 あいぼん KAZU 河野信之 鈴木英倫子
ヒロ ぬいぬ 嵯峨創平 表悦広 宍戸章治

繁田健治 谷中修・啓子 Naoto Ogawa ペトラ 穴澤宏美
西川文恵 青木誠也 ヒカル Itaru Kato himi 山本恵子
みたらしパパ 株式会社スタジオペガサス tara 佐藤真紀
Bussan sonoichi 相馬千秋 mhrs_chr nekojersey
繁田健治 小島真也

Chiki もとこ Soo 冬彩 諏訪ただゆき 砂子啓子
カウント・ゼロ Daisuke Iwai 橋口隆史 イノウエクニコ
和田俊一 廣瀬真也 目黒英宏 Tetsu-law Visualizer
Hideki Meguro 半世紀少年 ジンガヤ DON daygame

すいかずら   Toru Koyama

どんぐり整骨院 代表 椎名亮文
末吉 亙

COMMENT

東日本の大震災から12年が経ちました。まだ傷の癒えることがない女性を通して、震災によって引き起こされた人生の破滅と、それでも、再生の一歩を踏み出す人間を描きました。
多くの人間の人生が変わってしまいました。しかし誰にでも起こり得る事柄です。この作品では、みんなが抱えているかもしれない日常に潜む物語として、震災を扱っています。
人生の破滅と再生のドラマを、ぜひ劇場で体感していただければとおもいます。

岩崎孝正|本作監督

主人公理子奈も演じる私も、毎日一つ一つのシーンがいろんなこととの戦いでした。積み上げてきた現実が足元から揺らぎ出す過程を目の当たりにした時、あるはずの色彩が消え世界が灰色へと一変する。そこでの景色の日常は苦しく孤独で心のシャッターは閉じてしまいます。ただただ幸せになりたいと願っているのに。それでも癒えない傷は時間をかけて修復していってほしい。狂いながらも必死に立ち向かおうとした人間は、儚く脆く、そして最後には美しいとも感じました。

中村守里|〈理子奈〉役

「浪江のおばちゃん」という名前で呼ばれていたおばちゃんの「浪江」というのが福島の土地の名前だったと知ったのは震災があってから。なんとも恥ずかしい話でありますが、結果的に私は親戚が暮らした土地を訪れることなく今日も暮らしています。一瞬のうちに故郷を離れることになった方々の苦しみは想像にも及びません。この作品では、体験したもの、体験しなかったものの超えることのできない距離感を表現できたらと思いました。ご覧いただけたら嬉しいです。

内村遥|〈知久〉役

海鳴りは予兆であり、過去を呼び覚ましつつ、今もまさに響いている。海鳴りに耳を傾け、被災した人々の現在を撮ること。それは当事者・理子奈にとって回帰していく場所であるだろう。3.11以降活動を開始した岩崎孝正初の集大成となる本作から、感じてほしい、未来の息吹を!

四方幸子|キュレーター/批評家

崩れゆく家庭のなかで、改めて、写真に向き合い、どこにカメラを向けるべきか模索していく姿は、岩崎孝正自身の問いに重なるであろう。

上野昻志|映画評論家
*公式パンフレットより抜粋

優れた写真とは不思議なもので、被写体を通して撮っている側の心を写し出す。 本作もスクリーンに映し出された主人公、理子奈を通して岩崎孝正監督の心を浮かび上がらせる。鏡のような作品は他者への想像力を掻き立て、観る者を巻き込む。 私も巻き込まれた。

土屋 豊|映画監督

東日本大震災が人々の心、人間関係、人生に残し続ける傷の大きさ、そして、どれほど、ぶちのめされそうな時にも、自分の人生の意味をつかみ出し、前に進む人間のたくましさ。福島県相馬に生まれ育ち、3.11に向き合い続けてきた岩崎孝正監督の決意ともいうべき想いのこもった映画だ。

宮本徹|衆議院議員

THEATER

エリア 都市 劇場名 公開日
北海道 札幌 シアターキノ 2024/1/5(金)
関東 東京 K's cinema 2023/10/28(土)-11/10(金)
関東神奈川 横浜シネマリン 2023/12/23(土) -12/29(金)
関西 大阪 シアターセブン 2023/11/11(土)-11/17(金)

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